2つのドリームで韓国へ #8  東海でカザフスタン料理

イースタンドリームは東海に到着。
訪韓歴多数の浪人でも、この街は初めてだ。

ここで下船する浪人のような者はもちろん
ウラジオストクへ向かうA子やMのような乗客も
一度、韓国の入国審査を受けなければならない。

船内にある入国カードに前もって必要事項を記入しておいた浪人。
船名は「ED」という略称でも大丈夫ということだったが、
「浪人はまだそんな症状はない!」という、おかしなプライドが首をもたげ
「Eastern Dream」とフルネームで書いたものだから、枠からはみ出してしまったw

さらに入国審査の列に並んでいると、入管の女性職員がひとりひとり記入事項をあらかじめチェック。
EDは問題がなかったが、韓国でのホテルの電話番号を書いていなかったので
「ホテルの電話番号を書いてください」と日本語で言われる。
「いまはわかりません」と答えると、女性職員は自分のスマホで浪人のホテルの電話番号を調べ、それを記入してくれた。
便利というかなんというか。

さて、浪人の入国審査が近づいてきた。
前にいたシニアの日本人男性の審査がやたらと長引いている。
ようやくそれが終わり、浪人の番になった。

ところが、先のシニア男性と同じく
浪人の指紋読み取りと顔認証がうまくいかない。
何度も何度もやり直し。

前日、松江で竹島資料室に行ったり、
今朝、海上で「日本海の夜明けぜよ~」と
心の中で叫んだりしたことがバレたのか?
あわや入国拒否!と思われたが、実は入管のパソコンがポンコツだったことがわかり、
なんとか無事に韓国入国を果たす(笑)

まずは売店にある両替所で2万円を韓国ウォンに換える。
待合所にはロシア系と思しき人々が目立つ。
これからウラジオまで乗船するのだ。
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両替している間にA子とMも待合所にやってきた。
彼女たちのようにウラジオ行き乗船者は、ここに正午までに集合とのこと。
現在の時刻は10時過ぎ。あと2時間を切っている。

彼女たちは浪人とともにとりあえず東海駅まで歩くことになった。
ターミナル前の道路はガンガン車が走っていたが、
それを横断して小道に入ると、なんとものどかで静かな風景が続く。
いつも船でやってくる釜山港とはえらい違いだ。
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途中にあった「アナログ珈琲」というカフェの看板。
デビュー間もないファブ4(ビートルズ)の面々が、浪人たちに向かって微笑んでいた。
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ターミナルからダラダラ歩いて10分ほどで東海駅に着いた。
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駅舎はまあまあの大きさだが、内部はとてもコンパクト。
よく利用する釜山駅とはこれまたえらい違い。
実はここからソウルまでの移動手段を確保していない浪人。
左手の電光掲示板の真下にある切符売り場で購入を試みる。
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窓口では英語の話せる男性駅員が対応してくれた。
江陵からソウルの清涼里までのKTX(韓国版新幹線)は、残り1席というところでギリギリ確保!
お値段2万6000ウォン(約2600円)。
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そしてここ東海から江陵までは、観光列車「海列車(ぱだよるちゃ)」に乗ろうと思っていた。
ところが海列車の切符は、この窓口では買えないという。

海列車の韓国語パンフを手渡され、示された電話番号にダイヤルして予約するのだという。
しかしながら浪人の韓国語能力ではそれは至難の業。
「自分にはちょっと難しいですね」
と言ったところ、この駅員が「私が電話しますよ」といって1席確保してくれた。
切符上部の赤文字は駅員が書いてくれた海列車のシートナンバーである。

こうして無事、東海からソウルまでの足を確保した浪人。
その間、女子ふたりは駅前にある「カフェ・カザフスタン」というレストランを目ざとく発見していた。
「ここでブランチにしましょう」
ふたりとも船内で朝食をとっていなかったので、おなかペコペコだったようだ。
そこで浪人も一緒にカザフスタンに入ることに。
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店の女主人は明らかに中央アジア系の風貌。
彼女と韓国語とロシア語のちゃんぽんという謎の言語でコミュニケーションをとり、まずはカザフ風サモサを。
しかしオマケはやっぱり韓国風である。
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プロフ。カザフスタンやウズベキスタンでよく食されるピラフ。
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ロシア風水餃子ペリメニ。
カザフでもペリメニというらしい。
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こちらがカフェ・カザフスタンのメニュー。
プロフもペリメニもともに8000ウォン。
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するとカザフスタンの前に、イースタンドリームに乗っている日本人青年2名とシニア男性の姿が。
シニア男性と浪人がポンコツPCのせいで入国審査に手間取っている間に、
女子2人は他の日本人乗客とコミュニケーションをとっていた。
青年のひとりはライダーで、昨年は南米を周遊するというチェ・ゲバラのような冒険をしたとか。
今回はウラジオからスペインまでユーラシア大陸横断バイクの旅を敢行するとのこと。

もう一人の青年は、昨晩、ロシア人の友人とインフォメーションで韓国女性スタッフをナンパしていた彼。
会社を辞めて、ウラジオに。
そのあとはノープランだとか。
とりあえずシベリア鉄道に乗ってヨーロッパへ行こうかな、とかなり気楽な感じだそうで。

A子が彼らに「カザフスタン料理どうですか~」と呼び込みしたが、
よく考えてみれば彼らはこれからユーラシア大陸を大満喫するのだ。
いまのうちに韓国料理を食べておきたかったのだろう、こちらに入るのは固辞して、別の店を探しに行ってしまった。

カザフスタン料理は初めてだったが、
ウズベキスタン旅行の経験があるA子がセレクトしてくれたので、
非常に美味しいものにありつけた。
女店主も終始にこやかで、韓国語とロシア語のちゃんぽんで、コミュニケーションも盛り上がる。
サモサがとりわけ美味だったので、女子2人はテイクアウトした。

時計の針は11時15分を指している。
女子2名はこれよりターミナル前のコンビニGS25で食糧調達。
ユーラシア大陸へとつながる船へと戻っていった。
それを見送る浪人はこれより韓半島横断の旅に出る。
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ユーラシア大陸を横断する青年たちに比べると
浪人のはなんともスケールのちっちゃな旅だなあ、とひとり苦笑。


東海駅に戻る。
待合室のテレビではトランプ・文在寅という米韓両首脳の記者会見の模様をライヴで放送している。
なんだかDMZ(非武装地帯)という字幕がやたら登場するんだが、
浪人のつたない韓国語ヒアリング能力と字幕のハングル文字によれば
トランプ大統領は軍事境界線のある板門店に行くらしい。
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海列車が東海駅にやってくる数分前。
事務室で仕事をしていた、先ほどの男性駅員に向かって
「ありがとう!さようなら!!」と声をかける。
彼はにこやかに「行ってらっしゃい!1番線ですよ」と言ってくれた。
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ご存知のように、この国では浪人が船で渡ってきた海のことを「日本海」とは呼ばない。
竹島を独島と呼ぶように
日本海は東海と読む。

韓国の国歌(愛国歌という)の冒頭歌詞にも
「東海と 白頭山が 乾き 磨り減るまで」
と登場する。
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そんな韓国民にとっては重みのある名前の港町は
拍子抜けするほどちっちゃで静かで
そして親切な人に会える場所だった。

海列車が入線。
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こちらが海列車の車内。
観光列車のため、すべての座席が海側を向いている。
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窓に面した9号席に着席!
浮き輪の形をしているのが粋。
あとで女性乗務員が運賃の徴収にやってきた。
江陵まで1万6000ウォン(1600円くらい)。
一般の列車「ムグンファ号」だと2900ウォン(290円ほど)ということを考えると、5倍以上のお値段である。
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11時59分、海列車は東海駅を出た。
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<つづく>
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